魚座鉱脈
いろいろ雑多な二次創作小説サイト
TOP
BLOG
HOME
#5 奇怪怪々 怪奇現象!
ギシィ……ギシィ……ギシィ…………
一歩一歩進むたびに、床が不気味な音を立ててきしむ。
「おーい、デカオー!ケロさーん!」
「デカオくーん、ケロさーん!」
「どこにいるのよー! 無事なら返事してーー!」
三人は、周囲を見回しながらデカオたちの名前を連呼した。
『どう?グライド。 ガッツマンたちの反応、見つかった?』
『いえ、この部屋をくまなくサーチしてみましたが、それらしき反応は何も…………』
『デカオくんたちの体温も感じられないわ。ここには居なさそうね、ロック』
『…………そのようだね。別の部屋へいってみよう、熱斗君!』
「わかった」
ロックマンたちも原因不明の強い電波障害のせいでデカオのPETやガッツマンとの通信が取れない今、PETの電源やデカオたちの体温を熱源探知モードで部屋の中を一つずつサーチして調べていく。
が、一階だけでも20数もの部屋があり、探すのにかなり難儀していた。
「くそう、一体いくつ部屋があるんだか、この家は」
熱斗が悪態をつきながら、次の部屋のドアを開けた。
「うわあ………………」
入ってみると、そこは応接間らしい、広々とした部屋であった。
天井には華美な造りのシャンデリア、床にはすっかり色あせてはいるが、豪華な刺繍を施されたじゅうたんが敷き詰めてある。
なによりも熱斗たちの目をひきつけたのは、壁にかけられた数十枚の肖像画と、部屋の真ん中に置いてある古いピアノであった。
「うっひゃー、まるで学校の音楽室みたいだなぁ」
「バカねぇ、学校の音楽室にシャンデリアやじゅうたんなんてないわよ」
目を丸くして部屋を見渡す熱斗に、やいとがすかさずツッコミを入れる。
「このピアノ、古いけどまだ使えるみたいね……」
メイルがピアノの蓋を開けて、鍵盤にそっと触れようとしたとき。
♪ボロン、ボロロボン、ボロオオン!!
「きゃあっ!?」
「うわっ!??」
突如、ピアノの鍵盤が波のようにうねり、手も触れてもいないのに勝手にメロディーを奏で始めた。
それはまるで、透明人間がピアノを弾いているかのような光景であった。
「ピ、ピアノが勝手に!?」
「何!? 何なの、これ??!」
ショパンのピアノソナタ『月光』が流れる中、パニック状態になって熱斗に抱きつくメイル。
「あ…………あれ見て!」
やいとが震えながら信じられないといった顔で、壁を指差す。
壁にかけられてある数々の肖像画の中の顔が、次々と変化し始めていた。
あるものは渦巻状に歪んだり、またあるものは血のように赤い涙を流したり。
まさに奇怪としかいいのようない光景である。
「ど、どうなっているんだよ、これ…………」
メイルの肩を抱きながら呆然とする熱斗がつぶやく。
と、一番大きな肖像画の中から、なんと貴婦人の顔がろくろ首のごとく「にゅう」と大きく抜け出し、
…………ウフフフ…………
熱斗たちに向けて不気味に微笑んだ。
「キャアアアアアア!!」
「ウワアアアアアアアア!!!!」
「イヤァアアアアアアアア!!!!!」
その刹那、熱斗たちは絶叫とともに猛ダッシュで部屋を飛び出した。
「…………な、何だったんよ?今のは……」
「う、噂は本当…………だったのね」
「し、心臓に悪いわね、今の顔…………」
応接間から飛び出てきた3人は壁にもたれて荒く息をした。3人とも、滝のような冷や汗を流している。
『熱斗君、大丈夫?』
ロックマンが心配そうに、声をかける。
「ああ……大丈夫さ。 かなりびっくりしたけどね。ったく、とんでもないところに来ちまったもんだな」
「元はといえば、デカオのバカが心霊写真を撮るとか言って一人で突っ走るからいけないのよ。あー腹が立つわねー」
肩を息をしながら、やいとが悪態をつく。
「まぁまぁ、やいとちゃん、そう怒らないで。それより早くデカオくんたちを………………っ!?」
やいとをなだめようとしたメイルの顔が、急に顔面蒼白になった。
「? どうしたんだよ? メイル」
「ねねね熱斗…………う、後ろ、後ろ……」
メイルがかちかちを歯を鳴らしながら、いぶかしげに見つめる熱斗の背後を指差す。
「え? 俺の後ろがどうかしたの………………!?」
不審に思い、熱斗が振り返ると…………
銀色に鈍く光る中世風の鎧をまとった首のない騎士が、そこに立っていた。
その手には大きな斧を持っている。
「!!!!!………………ウギャアアアアーーーーー!!!」
「出たぁあああああーーーーー!!」
熱斗たちの目と口が大きくOの字に開かれる。
「に、逃げろぉーーーー!!」
熱斗の鶴の一声が発せられるや否や、3人はまたもや猛ダッシュで逃げ出した。
が、
ガションガションと音を立てて、首無し騎士も斧を振り回しながらこれまた猛スピードで追いかけてきた。
「ひ、光君、追いかけてくるわよぉー!!」
「くそう、どうすりゃいいんだよー!!」
このままでは、追いつかれてしまう。3人ともそう思った。
『熱斗君!』
PETの中のロックマンが叫んだ。
「な、何だよ、ロックマン!?」
『何でもいいから、何か物をその首無し騎士の胸のところへ投げてみて!』
「え? そ、そんなこと急に言われても……」
『いいから早く! 僕の言うとおりにして!』
「何がなんだかわからねぇけど、わかった!」
ちょうど、前方に廊下の隅に高価そうな壷が置いてある。
ご都合主義といってしまえばおしまいだが、熱斗には考える余裕がなかった。
熱斗はそれを両手で抱えて立ち止まり、後ろを振り返る。
「これでも…………くらえっっ!!」
ありったけの力を込めて、ロックマンの指示通り壷を首無し騎士の胸めがけてぶん投げた。
ガッシャアアアァァーーーーーン!!
壷が胸に当たって粉々に砕け、首無し騎士が倒れた…………
と思ったら、その瞬間なんと首無し騎士の姿がフッ……と煙のように消えてしまった。
「何っ!?」
熱斗はもちろんのこと、メイルややいとも意外な光景に仰天した。
「ど、どーなってんだ?……これ」
信じられないといった顔で、熱斗が呟く。
「熱斗、これを見て!」
メイルが床に散らばった壷の破片を指さした。
見てみると、破片にまじってピンポン玉ぐらいの大きさの金属の球状のものが転がっていた。
「これは………………!?」
熱斗たちは、それを拾ってまじまじと見つめる。
よく見ると、小さなカメラとこれまた小さなラジコンのアンテナに似た金属線がついている。
『やっぱり思っていた通りだ。これ、超小型のホログラムプロジェクターつきのドローンだよ』
『どういうことなの?ロック』
ロールがいぶかしげに聞く。
『たぶん、誰かがどこかでそれを遠隔操作して、首無し騎士の立体映像で僕たちを驚かせていたんだ』
「どうして、それがわかったの?」
と、メイル。
『うん、ほんのわずかだけど、そのプロジェクターから電磁波をキャッチできたんだ。もっとも電波障害のおかげでそれに気づくまではちょっと時間がかかったけどね』
「……ってことは、さっきの応接間のアレも今までの幽霊騒動も、その装置の仕業ってわけ?」
『ピアノは自動演奏できるものを古いものにみせかけたと、いうことですね…………』
ロックマンの説明に、やいととグライドが納得したような顔をする。
「…………ふざけやがって!」
ガツン!!
熱斗が怒りを露にして、壁を殴った。
#ロックマンエグゼ
#ロックマンシリーズ
#4 突入! 噂の幽霊屋敷
|
目次
|
#6 デカオ&ケロさん救出
たとえばこんな世にも奇妙な物語
2025.3.12
戻る
TOPに戻る
ギシィ……ギシィ……ギシィ…………
一歩一歩進むたびに、床が不気味な音を立ててきしむ。
「おーい、デカオー!ケロさーん!」
「デカオくーん、ケロさーん!」
「どこにいるのよー! 無事なら返事してーー!」
三人は、周囲を見回しながらデカオたちの名前を連呼した。
『どう?グライド。 ガッツマンたちの反応、見つかった?』
『いえ、この部屋をくまなくサーチしてみましたが、それらしき反応は何も…………』
『デカオくんたちの体温も感じられないわ。ここには居なさそうね、ロック』
『…………そのようだね。別の部屋へいってみよう、熱斗君!』
「わかった」
ロックマンたちも原因不明の強い電波障害のせいでデカオのPETやガッツマンとの通信が取れない今、PETの電源やデカオたちの体温を熱源探知モードで部屋の中を一つずつサーチして調べていく。
が、一階だけでも20数もの部屋があり、探すのにかなり難儀していた。
「くそう、一体いくつ部屋があるんだか、この家は」
熱斗が悪態をつきながら、次の部屋のドアを開けた。
「うわあ………………」
入ってみると、そこは応接間らしい、広々とした部屋であった。
天井には華美な造りのシャンデリア、床にはすっかり色あせてはいるが、豪華な刺繍を施されたじゅうたんが敷き詰めてある。
なによりも熱斗たちの目をひきつけたのは、壁にかけられた数十枚の肖像画と、部屋の真ん中に置いてある古いピアノであった。
「うっひゃー、まるで学校の音楽室みたいだなぁ」
「バカねぇ、学校の音楽室にシャンデリアやじゅうたんなんてないわよ」
目を丸くして部屋を見渡す熱斗に、やいとがすかさずツッコミを入れる。
「このピアノ、古いけどまだ使えるみたいね……」
メイルがピアノの蓋を開けて、鍵盤にそっと触れようとしたとき。
♪ボロン、ボロロボン、ボロオオン!!
「きゃあっ!?」
「うわっ!??」
突如、ピアノの鍵盤が波のようにうねり、手も触れてもいないのに勝手にメロディーを奏で始めた。
それはまるで、透明人間がピアノを弾いているかのような光景であった。
「ピ、ピアノが勝手に!?」
「何!? 何なの、これ??!」
ショパンのピアノソナタ『月光』が流れる中、パニック状態になって熱斗に抱きつくメイル。
「あ…………あれ見て!」
やいとが震えながら信じられないといった顔で、壁を指差す。
壁にかけられてある数々の肖像画の中の顔が、次々と変化し始めていた。
あるものは渦巻状に歪んだり、またあるものは血のように赤い涙を流したり。
まさに奇怪としかいいのようない光景である。
「ど、どうなっているんだよ、これ…………」
メイルの肩を抱きながら呆然とする熱斗がつぶやく。
と、一番大きな肖像画の中から、なんと貴婦人の顔がろくろ首のごとく「にゅう」と大きく抜け出し、
…………ウフフフ…………
熱斗たちに向けて不気味に微笑んだ。
「キャアアアアアア!!」
「ウワアアアアアアアア!!!!」
「イヤァアアアアアアアア!!!!!」
その刹那、熱斗たちは絶叫とともに猛ダッシュで部屋を飛び出した。
「…………な、何だったんよ?今のは……」
「う、噂は本当…………だったのね」
「し、心臓に悪いわね、今の顔…………」
応接間から飛び出てきた3人は壁にもたれて荒く息をした。3人とも、滝のような冷や汗を流している。
『熱斗君、大丈夫?』
ロックマンが心配そうに、声をかける。
「ああ……大丈夫さ。 かなりびっくりしたけどね。ったく、とんでもないところに来ちまったもんだな」
「元はといえば、デカオのバカが心霊写真を撮るとか言って一人で突っ走るからいけないのよ。あー腹が立つわねー」
肩を息をしながら、やいとが悪態をつく。
「まぁまぁ、やいとちゃん、そう怒らないで。それより早くデカオくんたちを………………っ!?」
やいとをなだめようとしたメイルの顔が、急に顔面蒼白になった。
「? どうしたんだよ? メイル」
「ねねね熱斗…………う、後ろ、後ろ……」
メイルがかちかちを歯を鳴らしながら、いぶかしげに見つめる熱斗の背後を指差す。
「え? 俺の後ろがどうかしたの………………!?」
不審に思い、熱斗が振り返ると…………
銀色に鈍く光る中世風の鎧をまとった首のない騎士が、そこに立っていた。
その手には大きな斧を持っている。
「!!!!!………………ウギャアアアアーーーーー!!!」
「出たぁあああああーーーーー!!」
熱斗たちの目と口が大きくOの字に開かれる。
「に、逃げろぉーーーー!!」
熱斗の鶴の一声が発せられるや否や、3人はまたもや猛ダッシュで逃げ出した。
が、
ガションガションと音を立てて、首無し騎士も斧を振り回しながらこれまた猛スピードで追いかけてきた。
「ひ、光君、追いかけてくるわよぉー!!」
「くそう、どうすりゃいいんだよー!!」
このままでは、追いつかれてしまう。3人ともそう思った。
『熱斗君!』
PETの中のロックマンが叫んだ。
「な、何だよ、ロックマン!?」
『何でもいいから、何か物をその首無し騎士の胸のところへ投げてみて!』
「え? そ、そんなこと急に言われても……」
『いいから早く! 僕の言うとおりにして!』
「何がなんだかわからねぇけど、わかった!」
ちょうど、前方に廊下の隅に高価そうな壷が置いてある。
ご都合主義といってしまえばおしまいだが、熱斗には考える余裕がなかった。
熱斗はそれを両手で抱えて立ち止まり、後ろを振り返る。
「これでも…………くらえっっ!!」
ありったけの力を込めて、ロックマンの指示通り壷を首無し騎士の胸めがけてぶん投げた。
ガッシャアアアァァーーーーーン!!
壷が胸に当たって粉々に砕け、首無し騎士が倒れた…………
と思ったら、その瞬間なんと首無し騎士の姿がフッ……と煙のように消えてしまった。
「何っ!?」
熱斗はもちろんのこと、メイルややいとも意外な光景に仰天した。
「ど、どーなってんだ?……これ」
信じられないといった顔で、熱斗が呟く。
「熱斗、これを見て!」
メイルが床に散らばった壷の破片を指さした。
見てみると、破片にまじってピンポン玉ぐらいの大きさの金属の球状のものが転がっていた。
「これは………………!?」
熱斗たちは、それを拾ってまじまじと見つめる。
よく見ると、小さなカメラとこれまた小さなラジコンのアンテナに似た金属線がついている。
『やっぱり思っていた通りだ。これ、超小型のホログラムプロジェクターつきのドローンだよ』
『どういうことなの?ロック』
ロールがいぶかしげに聞く。
『たぶん、誰かがどこかでそれを遠隔操作して、首無し騎士の立体映像で僕たちを驚かせていたんだ』
「どうして、それがわかったの?」
と、メイル。
『うん、ほんのわずかだけど、そのプロジェクターから電磁波をキャッチできたんだ。もっとも電波障害のおかげでそれに気づくまではちょっと時間がかかったけどね』
「……ってことは、さっきの応接間のアレも今までの幽霊騒動も、その装置の仕業ってわけ?」
『ピアノは自動演奏できるものを古いものにみせかけたと、いうことですね…………』
ロックマンの説明に、やいととグライドが納得したような顔をする。
「…………ふざけやがって!」
ガツン!!
熱斗が怒りを露にして、壁を殴った。
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#4 突入! 噂の幽霊屋敷 |目次 | #6 デカオ&ケロさん救出