- 2025/03/12 あとがき:たとえばこんな世にも… たとえばこんな世にも奇妙な物語
- 2025/03/12 登場人物紹介(ネタバレ注意) たとえばこんな世にも奇妙な物語
- 2025/03/12 #11 そして、謎は残った <… たとえばこんな世にも奇妙な物語
あとがき:たとえばこんな世にも奇妙な物語
この作品は2003年から翌年04年まで、まわりもどき掲示板(閉鎖済)内の小説投稿掲示板に投稿していたものを、2011年10月に加筆修正してPixivにアップしたものを、さらに加筆修正して収録したものです。
(あーややこしい)
ストーリーの元ネタは30年以上昔のTVドラマ「あばれはっちゃく」シリーズのとあるエピソードです。
(何作目の第何話だったかは失念orz)
『ホラー漫画が流行している→
主人公の知り合いだか友人だかが廃墟になった家で怪奇現象に合う(だったと思う)→
主人公たちが真相を確かめに廃墟へ乗り込む→
実はホラー漫画家とアシスタントがお化けになりすまして他人を驚かせて、それを写真に撮って漫画の資料にしていた』
という流れのストーリーがものすごく印象に残っていて。
エグゼをプレイしてて、「あばれはっちゃくのあの話、今だったら遠隔操作+立体映像で驚かせてデジカメで撮影してそうだな」と思い、ちょうどそのころDASH小説の執筆に行き詰まってたもんで気分転換に初エグゼ小説を書いたわけです。
その割には戦闘シーンがしょぼくてすまない。
あと、執筆当時エグゼ3は発売されてたけどまだ入手してなかったので、デカオやチサオの設定や口調が違っています。
後にプレイしてて、デカオがお化けを怖がってたりチサオが熱斗に対してぞんざいな態度なことにびっくりしたよ(苦笑
日暮さんの口調もまわりもどき版では間違っていたし。(pixiv版では修正したけど)
pixivからサルベージした際、読みやすいようにあっちこっち修正したり加筆してみたりしてみたけど、いかがでしたでしょうか?
「面白い」と思っていただければ幸いです。
- 「アンテナつき超小型ホログラムプロジェクター」を「ホログラムプロジェクター搭載の超小型ドローン」に変更。ドローンって言葉は執筆当時になかったんで。
- 「死霊のコサックダンス」にニヤリとした人いるかな?
- <主人>の外見は、縦ロールヘアー+ピンクのゴスロリ服きたみ◯わさんかヂ◯ーンを想像してください(おい
- <しもべ>もとい<幻影の魔王>(笑)は、ジェミニマンかソウルイレイザーのガレスっぽい感じで。
- ある意味MVPのメガネの女性(メガネかけさせました)は、「トロンにコブン」にでてきたデニッシュさんのイメージで。
- メガネの女性の正体はぼかしています。人間ではないということだけは確実。
この話書いてから十数年後にまさかキン肉マンの新作に『ミラージュマン』という超人がでてこようとは予想できなかったw畳む
#ロックマンエグゼ #あとがき #ロックマンシリーズ
たとえばこんな世にも奇妙な物語
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
登場人物紹介(ネタバレ注意)
作中に登場したオリジナルキャラは次の通りです。
※念のため、ネタバレの部分は折り畳んであります。
<主人>
今回の事件の犯人。
<しもべ>を使って怪奇現象を起こし、屋敷を訪れた人々を驚かせて楽しんでいた。
その正体は、人気ホラー漫画家の妖部バケル(本名:獄怨寺はな子)。
れっきとした女性である。
<しもべ>=自分のネットナビ『ミラージュマン』とともに、ホログラムプロジェクターつき超小型ドローンを無線による遠隔操作で操り、屋敷に入った者たちが驚愕した表情を隠し撮りして、それを元に漫画を描いていた。
ミラージュマンを倒され、地下のワインセラーに隠れていたところを熱斗と炎山に踏み込まれた後、 データをノートパソコンからPETに移して逃亡を図ろうとしたが、 たまたまいた女性スタッフ(?)にフライパンで殴られ気絶。そのまま逮捕された。
なお、ホラー漫画家としては一流の部類に入り、かなりの売れっ子。
登場人物の描写のリアリティに定評がある。 デビュー作は『死霊のコサックダンス』。畳む
<しもべ>
<主人>の命令で怪奇現象を起こしていた。
デカオたちを助けに屋敷に入った熱斗たちに怪奇現象のからくりを見破られてしまい、 <主人>の居場所へ行かせまいと、熱斗とロックマンに戦いを挑む。
その正体は、妖部バケルのネットナビ『ミラージュマン』。
自称「恐怖と悪夢を司る幻影の魔王」。
全身を鏡のような光沢の鎧でまとっている。
(本家ジェミニマン+ガレス(ロックマンXソウルイレイザー)のイメージ)
ロックマンをデリート寸前にまで追い詰めるが、捨て身の反撃「イアイフォーム」で逆転され敗北。
敗れてもなお、執念で鏡の破片となってロックマンをデリートしようとするが、寸前のところをブルースにデリートされる。
《幻影の魔王》を名乗っている割には、あんまりたいしたことはなかった敵であった。
作者初にして現時点では唯一のオリジナルナビだったりする。
(ボスコンテストには応募していない)
必殺技
ミラージュホロウ
一瞬姿を消して、何枚もの大きな鏡を相手の周囲に出現させる。
なお、鏡はバスターの弾を弾き返す。
ミラージュブレイド
鏡の中から無数の剣を出現させ、一方的に攻撃する。
ミラージュクラッカー
作中では技名表記なし。HPが少なくなったときの捨て身の業。
自らを無数の鏡の破片に変えて、相手に襲い掛かる。畳む
屯田兵
「とんでんへい」と読む。
やいと専属の運転手。
見事なドライビングテクニックで、熱斗たちを幽霊屋敷の前まで送り届けた。
ちなみに「屯田兵」という苗字は実在するらしい。
メガネの女性
お化けに追い詰められていたデカオやケロさんたちと一緒にいた女性。
怪奇現象のからくりのヒントを熱斗に教えたり、逃走しようとした黒幕をフライパンで殴って気絶させたりと事件解決に貢献した。
熱斗たちはてっきり撮影スタッフの一人だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
いつの間にか現れて、いつの間にか消えていた。なにもかも正体不明である。畳む
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#11 そして謎は残った <完> |目次
あとがき
※念のため、ネタバレの部分は折り畳んであります。
<主人>
今回の事件の犯人。
<しもべ>を使って怪奇現象を起こし、屋敷を訪れた人々を驚かせて楽しんでいた。
その正体は、人気ホラー漫画家の妖部バケル(本名:獄怨寺はな子)。
れっきとした女性である。
<しもべ>=自分のネットナビ『ミラージュマン』とともに、ホログラムプロジェクターつき超小型ドローンを無線による遠隔操作で操り、屋敷に入った者たちが驚愕した表情を隠し撮りして、それを元に漫画を描いていた。
ミラージュマンを倒され、地下のワインセラーに隠れていたところを熱斗と炎山に踏み込まれた後、 データをノートパソコンからPETに移して逃亡を図ろうとしたが、 たまたまいた女性スタッフ(?)にフライパンで殴られ気絶。そのまま逮捕された。
なお、ホラー漫画家としては一流の部類に入り、かなりの売れっ子。
登場人物の描写のリアリティに定評がある。 デビュー作は『死霊のコサックダンス』。畳む
<しもべ>
<主人>の命令で怪奇現象を起こしていた。
デカオたちを助けに屋敷に入った熱斗たちに怪奇現象のからくりを見破られてしまい、 <主人>の居場所へ行かせまいと、熱斗とロックマンに戦いを挑む。
その正体は、妖部バケルのネットナビ『ミラージュマン』。
自称「恐怖と悪夢を司る幻影の魔王」。
全身を鏡のような光沢の鎧でまとっている。
(本家ジェミニマン+ガレス(ロックマンXソウルイレイザー)のイメージ)
ロックマンをデリート寸前にまで追い詰めるが、捨て身の反撃「イアイフォーム」で逆転され敗北。
敗れてもなお、執念で鏡の破片となってロックマンをデリートしようとするが、寸前のところをブルースにデリートされる。
《幻影の魔王》を名乗っている割には、あんまりたいしたことはなかった敵であった。
作者初にして現時点では唯一のオリジナルナビだったりする。
(ボスコンテストには応募していない)
必殺技
ミラージュホロウ
一瞬姿を消して、何枚もの大きな鏡を相手の周囲に出現させる。
なお、鏡はバスターの弾を弾き返す。
ミラージュブレイド
鏡の中から無数の剣を出現させ、一方的に攻撃する。
ミラージュクラッカー
作中では技名表記なし。HPが少なくなったときの捨て身の業。
自らを無数の鏡の破片に変えて、相手に襲い掛かる。畳む
屯田兵
「とんでんへい」と読む。
やいと専属の運転手。
見事なドライビングテクニックで、熱斗たちを幽霊屋敷の前まで送り届けた。
ちなみに「屯田兵」という苗字は実在するらしい。
メガネの女性
お化けに追い詰められていたデカオやケロさんたちと一緒にいた女性。
怪奇現象のからくりのヒントを熱斗に教えたり、逃走しようとした黒幕をフライパンで殴って気絶させたりと事件解決に貢献した。
熱斗たちはてっきり撮影スタッフの一人だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
いつの間にか現れて、いつの間にか消えていた。なにもかも正体不明である。畳む
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#11 そして謎は残った <完> |目次
あとがき
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#11 そして、謎は残った <完>
「しかしまぁ、まさか犯人があの『妖部バケル』だったとはねー」
やいとが信じられないといった顔で、紅茶を一口飲む。
「本当、俺も驚いたぜ、お化けの正体には」
デカオもうんうんとうなずく。
あれから数日後、熱斗たちいつものメンバーは、やいとの家の庭の東屋でのんびりティータイムを楽しんでいた。
「まったく人騒がせな話でマス。あ、メイドさん、紅茶のおかわりたのんマス」
なぜか日暮も話の輪に入っている。
『妖部バケル』こと獄怨寺はな子は、今も警察で取り調べを受けている。
押収された彼女のパソコンとPETからは、大量のデジカメ写真のデータが見つかった。
しかも、その写真はいずれも驚愕と恐怖の表情を浮かべた人間の顔のみが映し出されていたものばかりであった。
彼女の供述によると、ミラージュマンと超小型ドローンを使って他人を驚かせ、そのときの表情をデジカメで隠し撮りしたものを資料に漫画を描いていたという。
ちなみに、犯行現場に使われた洋館は彼女が曽祖父から相続されたものだそうだ。
「熱斗たちがとっ捕まえてくれなかったら、今頃俺の驚いた顔が漫画雑誌に載っていたかもしれないなー」
デカオが複雑といった表情をしながら、輸入物のクッキーをボリボリむさぼっていく。
「あんたの顔は、どっちかというとお化けっぽいわよ」
「んだとーコラーー!!」
やいとのつっこみに、デカオが抗議の声を上げる。
『………………』
「? どうしたの? ロール」
PETの中のロールの顔が冴えないことに、メイルが気づく。
『…………あのね、今考えていたんだけど、デカオくんたちを見つけたとき全部で5人いたよね?』
「ああ、そういやそうだったな。それがどうしたんだよ?」
熱斗がいぶかしげに言う。
『でも…………私がスキャンしたとき、生命反応は『4つ』しかなかったのよ……』
ロールが青ざめた顔でつぶやいた。
『えっ? ロ、ロールちゃん…………ソレってまさか……』
ロックマンが口を金魚のようにパクパクしながら問いかける。
『ええ、間違いないわ。
あとで気になってケロさんのトードマンに聞いてみたら、ケロさんたちを探しにいったスタッフの人は男の人だって』
ロールは話し続ける。
『それと、あの時のスタッフの中に…………ケロさん以外の女の人は一人もいなかったそうよ』
「……………………………………え!?」
その刹那、その場に居た全員が凍りついた。
「そそそ、それじゃあ…………俺たちが見たあのメガネの女の人は…………一体誰だったんだ?」
熱斗は、顔を真っ青にしながらつぶやく。
が、誰もその疑問に答えない。いや、答えることができなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、これをご覧になられている諸君。
インターネットが発達し、電脳世界を擬似人格プログラム―――ネットナビが闊歩する時代になっても、怪談話や不思議体験談はどうやらどっこい健在であるようだ。
そう、たとえば……こんな世にも奇妙な物語が。
<完>
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#10 騒動の終焉 |目次 | 登場人物紹介(ネタバレ注意)
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#10 騒動の終焉
「なんということだ…………まさか伊集院炎山まで出てくるとは」
<しもべ>――ミラージュマンをデリートされた<主人>の焦りは、今や頂点に達していた。
「まずい、まずいぞ……このままでは」
このままオフシャルネットバトラーに逮捕されることになってしまったら、<主人>が今まで築き上げた地位と名誉が一瞬にして失われてしまうことになるだろう。
なんとしてでも、それだけは絶対に避けなければなるまい。
「くそっ、せめてこのデータだけでもヤツらの手に渡すものか!」
<主人>は急いで、机の上に置いてあるノート型パソコンのキーボードを叩き、パソコンの中のデータを全てPETへ移そうとした。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
バンッッ!!!
この部屋の扉が勢いよく開かれ、二人の少年が入ってきた。
「!!」
振り向いた<主人>の目が大きくOの字状に開かれた。
「あーーっ!!??
この人………………『妖部バケル』!!?」
熱斗が驚愕の表情を浮かべ、そこにいた人物を指差す。
<主人>…………ピンクが基調のゴスロリを着たかなり太目の中年女性が、ぎくっと身をこわばらせる。広すぎるその額には、大粒の冷や汗が浮かび上がっている。
『『妖部バケル』…………って、あのホラー漫画家の?』
「ああ、こないだ発売された単行本のカバーに顔写真が載っていたから間違いないよ」
ロックマンの問いに、熱斗がうなずく。
「『妖部バケル』…………本名『獄怨寺はな子』! オフシャル権限で、お前を逮捕する!!」
炎山が厳しい表情と口調で詰め寄った。
すると、そのとき。
「オーーーーーーッホホホホホ!!!!!!」
いきなり『妖部バケル』が高笑いをあげた。
「よくここまでたどりつけたわね、貴方たち。さすが、私のミラージュマンを倒しただけあるわ!」
あっけにとられる熱斗たちを尻目になおも不敵な笑みを浮かべる。
「………………でもね」
と、パソコンに繋げていたPETのケーブルを引き抜くやいなや、
「この大事なデータは、死んでもずぇっったいにアンタたちには渡さないわよっっ!!」
栗色の縦ロールヘアーを振り乱しながら、もの凄い形相でPETを抱きかかえるなり二人めがけて突進する。
「うわっ!!?」
「くっ!?」
女性にしてはかなりの巨体から繰り出してきたタックルに二人は突き飛ばされ、場にもんどりうって倒れた。
「オーーホホホホホ!! オフシャルなんかにとっ捕まってたまるもんですかぁーーー!!」
『妖部バケル』が高笑いしながら、ワインセラーをものすごい勢いで飛び出していった。
『炎山さまっ!!』
「く…………」
『熱斗君!逃げられちゃうよ!』
「おう!逃がすかっ!!」
痛む尻をさすりながら熱斗は立ち上がり、慌ててその後を追う。
だが、台所に入った熱斗がみたものは意外な光景であった。
「……あれ?」
なぜか、台所の入り口近くの床に『妖部バケル』が大の字になって気絶していた。
その額には大きなたんこぶがついている。
そして、その傍らには………………
「あーびっくりしたぁ。お化けかと思ったわ………………」
あのスタッフとおぼしきメガネの女性がフライパンをもちながら、びっくりしたといった表情でつぶやいた。
こうして、秋原町を騒がせた「お化け屋敷」騒動はあっけない幕切れを迎えた。
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#9 思わぬ好敵手の登場 |目次 | #11 そして、謎は残った <完>
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#9 思わぬ好敵手の登場
ジャキィィィーーーーン!!!
「??!!」
熱斗が見たものは、全身が欠片に突き刺さったロックマン……ではなく、
彼の前に立つ赤い影――――ブルースであった。
欠片は、彼が構えているシールドに阻まれている。
「………………ブ、ブルース?」
<き、貴様は……あのオフシャル…………ネットバトラー……伊集院炎山の!??>
思わぬブルースの出現に、驚愕の声を上げるロックマン。そして、ミラージュマンの声。
「いかにも…………」
ブルースが無表情に答える。
そして、間髪入れず右手のソードを素早く降り下ろす。
<うがあああああああーーーーっ!!!!!>
断末魔の叫びとともに、ミラージュマンの欠片が一斉にソードに砕かれ消滅していった。
「ふん…………《幻影の魔王》を名乗るわりには、たいした相手ではなかったな」
ブルースが冷たくつぶやきながら、ソードを収める。

「え、炎山!? 助けにきてくれたのか?!」
熱斗も、思わぬ好敵手の出現に驚いていた。
「ふん…………勘違いするな、光。
俺たちはただ、この屋敷の調査に来ただけだ。別に貴様たちを助けに来たわけではない」
相変わらず炎山は、相手を見下した態度で答える。
「屋敷の調査…………ってまさか」
熱斗は、炎山を見つめる。
オフシャルネットバトラーには、ネット犯罪を独自に捜査し、犯罪者を逮捕する権利が与えられている。オフシャル屈指のネットバトラーである炎山が、この屋敷の「調査」に来たということは…………。
「やっぱりネット犯罪だったのかよ、このお化け騒ぎは」
「貴様には関係のないこと。俺の仕事に首をつっこまないでもらおうか……。
ブルース、プラグアウトするぞ」
『ハッ、炎山さま』
熱斗を無視して、炎山はブルースを無線LAN装置からプラグアウトさせる。
『炎山さま、この無線LANに指令を送っていたホストコンピューターの割りだしが終了しました』
「場所を教えろ」
『この部屋の左隣3つ目にある台所の地下、ワインセラーです』
「よし、わかった。行くぞ」
炎山は、熱斗に見向きもせずにこの部屋を出ようとする。
「おいっ、ちょっと待てよ炎山! 俺も行く!!」
熱斗は、慌ててロックマンをプラグアウトさせると、炎山を呼び止めた。
「…………言ったはずだ、貴様には関係ない。俺の仕事に首をつっこむな、と」
炎山が突き放した口調で告げる。
「関係有るさ!」
だが熱斗はそんなことも気にせず食い下がる。
「立体ホログラムのお化けで人を驚かせて、それを楽しんで見ているふざけたヤローのせいでデカオが怪我してしまったんだ。
そいつの正体をこの目で確かめなきゃ、俺の気が済まないんだよ!」
『僕もだよ!』
ロックマンも熱斗に同意する。
「とにかく、お前が何といおうが、俺も行くぞ炎山!!」
熱斗の真剣な眼差しに、炎山はしばらく黙って見つめた。
そして、
「………………勝手にしろ。ただし、俺の脚をひっぱるなよ」
と、表情を崩さないまま目でついてくるように、熱斗を促した。
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#8 絶体絶命! どうするロックマン!? |目次 | #10 騒動の終焉
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#8 絶体絶命! どうするロックマン!?
「ははははーーーー!! どうだ、手も足もでまい!?
我が剣の錆となれ、ロックマン!!」
鏡の中の剣の攻撃はなおも、ロックマンを一方的に攻撃する。
「あうっ、ぐっ…………」

ロックマンのHPがどんどん削られていく。
『ね、熱斗く…………ん』
(くそっ、どうすればいいんだ!?)
熱斗があせりの表情を浮かべる。
反撃しようにも、ロックマンを回復させるのに精一杯である。
そうこうしていくうちに、回復チップが尽きてしまった。
他のチップのストックが全部無くなるのも、時間の問題であろう。
『うう………………』
HPが100を切った。
もはやロックマンは、立っていることさえできない、ボロボロの状態であった。
「ちくしょう、このままじゃロックマンが…………ん? これは!?」
熱斗は、わずか手元に残っているチップの中の一枚を見る。
「待てよ? ………………これならば、勝てるかも」
迷わず、そのチップをPETのスロットに差し入れた。

「熱斗君、このチップは……?」
ロックマンは、モニターの向うの熱斗を見つめる。
熱斗のその目つきは、真剣そのものであった。
「…………わかったよ、熱斗君」
彼の考えを悟ったのか、ロックマンはうなずき目を閉じて身構えた。
「ふん…………もう万策が尽きたか?」
再び鎧をまとったナビの姿で現れたミラージュマンが、あざ笑いの笑みを浮かべる。
が、ロックマンは何もいわず、そのままじっとして立っている。
その姿は、なす術もなく途方にくれているように見えた。
「…………どうやら、あの世へ行く覚悟ができたようだな。ならば、とどめを刺してくれるわっ!!」
再び何枚もの鏡が、ロックマンの周囲をぐるっと取り囲む。
熱斗は何も言わず、ただただPETのモニターを食い入るように見つめていた。
反撃のチャンスは、たった一度だけ。
これで外したら、確実にデリートされてしまう。
でも、いちかばちかやってみるしかない…………。
「これでデリートだ、ロックマンッッ!!!
<ミラージュブレイド>!!!!!」
姿なきミラージュマンの勝利を確信した叫びとともに、
鏡の中から、無数の剣が串刺しにせんとばかりにロックマンに襲い掛かる。
危うし、ロックマン!
『今だ!ロックマン!!!』
熱斗の叫びと同時にロックマンの両目がカッと見開く。
シャキーーーーーンン!!!!!
一筋の白い刃が、虚空を凪いだ。
「!!!???」
ミラージュマンが、声なき驚愕の声を上げる。
ロックマンの回りを取り囲んでいた鏡が、あっという間に幻のごとく消えた。
ただひとつを残して。
「そ、それは…………<イアイフォーム>?!」
ひとつだけ残った鏡の中から、ミラージュマンの声が聞こえる。
ロックマンの手には、一振りの刀が握られていた。
<イアイフォーム>。
自エリアに侵入した敵を、一瞬のうちに切り捨てる攻撃チップ。
しかし、発動するタイミングが難しく、それが少しでも遅れると敵の攻撃を受けてしまう、まさに一撃必殺のチップである。
『危なかったな、ロックマン。このチップをフォルダに入れておいて正解だったぜ』
「うん。鏡のどれかにミラージュマンの本体が隠れていることに熱斗君が気づいてくれなかったら、もうだめだったかもね……」
熱斗の言葉に、ロックマンがつぶやく。
そう、ただじっと立ち尽くしていたのではない。
<ミラージュブレイド>が繰り出されている瞬間、分身にまぎれこんでミラージュマンの本体が攻撃を仕掛けるほんのわずかな隙を狙って、待ち構えていたのだ。
「お、おのれ………………」
ビシッビシッビシィィィ!!!
鏡―――ミラージュマンに亀裂が走る。
パリィィーーーーン!!!
あっという間に、ミラージュマンの体が砕け散っていく。
――――だが。
どういうわけか、その破片の数々は消えずに、静止画像のごとく宙に浮いていた。
「なに!?」
『こいつ、まだデリートしていないのか!?』
驚く熱斗とロックマン。
<フハハハハーーーー!! これしきのことで、私は死なんよ!!>
ミラージュマンの高笑いが轟く。
<この命に代えても、我が主のもとへは行かせん!
その命もらいうけるぞ、ロックマン!!>
その声とともに、禍々しく光る破片の数々が獲物を狙うピラニアのごとく一斉にロックマンに襲い掛かった。
「!!」
『危ないっ、よけろロックマン!!!』
熱斗が叫んだ。
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#7 《幻影の魔王》の挑戦! |目次 | #9 思わぬ好敵手の登場
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#7 《幻影の魔王》の挑戦!
『なんということだ……』
思いもよらぬ事態に、<主人>は焦っていた。
『申し訳ございません、ご主人様。よもや、あの少年のネットナビに見破られてしまうとは』
<しもべ>も、信じられないと言った口調で<主人>に詫びる。
「むうう…………仕方あるまい。行けっ、我がしもべよ! あの少年を絶対にこの部屋に入れさせるな!!」
『はっ、御意のままに……!』
主の命令を受け、<しもべ>は文字通り飛び去った。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「ビンゴだぜ……これで家中のドローンやホログラムを操っていたってわけか」
暖炉の上に置いてある大きな箱状の物――無線LAN本体を調べていた熱斗が、にやりと笑う。
『この装置、プラグインできるよ熱斗君』
ロックマンが言ったそのとき。
『ふはははは、ようこそ我が屋敷へ!』
何者かの声が無線LAN本体から、部屋中に響き渡った。
「誰だっ!?」熱斗が叫ぶ。
『我が名は”ミラージュマン”! 恐怖と悪夢を司る《幻影の魔王》なり!!』
「お前がこの事件の犯人ってわけか…………!」
『いかにもその通り! 我が主の命令により、お前たちをここで消去する!!』
「何が《幻影の魔王》だ! みんなを酷い目にあわせやがって!」
熱斗が怒りを露にして、叫んだ。
『熱斗君!』「おう!」
熱斗はうなずき、PETから接続ケーブルを取り出す。
「いくぜロックマン!
プラグイン! ロックマンexe.トランスミッション!!」
ケーブルの接続端子が、無線LAN本体のプラグインジャックに差し込まれた。

ロックマンが無線LAN本体の電脳世界に降り立つと、そこには一体のネットナビが待ち構えていた。
「お前がミラージュマンか?!」
「いかにも!」
ロックマンの問いに、中世の騎士を思わせる鎧姿のナビ――ミラージュマンがうなずく。
全身にまとったその鎧は、鏡のような光沢をまとっている。
「ロックマン、我が必殺のミラージュホロゥ>とくと味わうがよい! 覚悟!」
そういうなり、ミラージュマンの姿がふっ……と消えた。
「えっ!?き、消えた?」
慌てて周囲を見回すロックマン。
と、その刹那。
何枚もの大きな鏡が出現し、ロックマンを取り囲んでいた。
「か、鏡!?」
戸惑いつつもバスターを鏡に向けて連射するが、
ガキン! ガキン!!
空しくはじかれてしまう。
「バスターがきかない?!」
「ふははーーーー! そんな攻撃で我が鏡は壊れぬ! くらえ、<ミラージュブレイド>!!」
ミラージュマンの声とともに、鏡の中から無数の剣が飛び出し、ロックマンに襲い掛かった。
「うわーーーーっ!!」
ロックマンの全身に銀の剣筋が走り、次から次へと傷を刻み込んでいく。
反撃を試みようにも、剣に跳ね除けられてしまう。
『ロックマン!!』
熱斗の声が電脳世界に響き渡る。
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#6 デカオ&ケロさん救出 |目次 | #8 絶対絶命! どうするロックマン!?
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#6 デカオ&ケロさん救出
その直後。
「キャアーーーーッ!! また出たぁあーーーー!!」
女性の悲鳴が、轟いた。
『熱斗君、この悲鳴は……!?』
「……ケロさんだ!!」
熱斗が叫んだ。
『ロールちゃん、今の悲鳴がした場所どこかわかる?』
『ちょっと待ってロック。 今サーチしているから。
…………………………………検索終了!
ここから左に曲がった200メートル先、右の部屋に生体反応が4つ!』
「わかった!!」
ロールの声を聞いて、真っ先に熱斗が駆け出していく。メイルとやいとも、慌てて後を追う。
バターーーーンン!!!
「ケロさんっ!!」
熱斗は、目的の部屋のドアを思いっきり開いた。
そこで見たものは……。
「あ、あ…………あわわ…………」
「た……助けてぇ…………」
「ひええええ、お、俺を食べないでくれぇ!!」
部屋の隅で、カエルを模した帽子を被りマイクを持った女性――緑川ケロと、TVカメラを抱えた屈強な男性二人とメガネをかけた若い女性一人。そして、右足首に怪我をしたデカオが頭を抱えてうずくまっていた。
…………ウフフフ……キャハハハ…………アヒャヒャヒャ……
彼らの周りを取り囲んで、アンティークのフランス人形が十数体、奇怪な笑い声をあげながらぐるぐる飛び交っているという、なんとも奇怪で現実的にありえない光景が熱斗たちの目の前に繰り広げられていた。
「デカオッ!大丈夫か!?」
「ね、熱斗っ!?」
熱斗の呼びかけに、半べそ状態のデカオが顔を上げる。
「ああっ、ごらんください! 我々のピンチに今っ、光熱斗少年が助けに来ましたぁーーー! これぞまさしく天の助けですっっ!!」
ケロさんも、熱斗の姿を確認するや表情が明るくなる。
こんな状況にでも、しっかりカメラに向かって実況しているところはさすがプロというべきか。
「今助けてやるからなっ!」
熱斗は傍においてある椅子を逆さにして持ち上げ、人形めがけてぶん回す。
バシィィッ! ガシャン!! バシィィッ! ガシャン!!
次々と人形が椅子で叩きつけられ、床に落ちていく。
熱斗が人形を全て倒したのは、およそ5分かかったのだろうか。
「あ、ありがとう。助かったよ、熱斗ぉ…………」
安心したデカオが目を潤ませる。
『うわぁぁん、デカオさまぁああ!! 助かってよかったでガスーーーー!!!』
デカオのPETの中で、ガッツマンもなりふり構わずおいおい男泣きしている。
「この怪我、一体どうしたの?」
メイルがハンカチを包帯代わりにして、怪我の手当てをしながら問いかける。
「……俺、心霊写真が取れる場所を探してこの部屋に入ったら、急にお化けが出てきて追いかけられたんだ」
デカオが、手にしている壊れた旧式のカメラを見つめる。
恐らくお化け(の立体映像)に追いかけられているときに、何かのはずみで壊れてしまっただろう。
「お化けから逃げている時に、うっかりそこの穴に落ちちまって……穴の中が深くて、抜け出すことができなかったんだよ……」
指差した先の床に、踏み抜いてできた穴の跡があった。
穴の中を覗いてみると、なるほど子供の手が地上に届かないほど、かなり深いものであった。
「長いこと助けを待っていたら、そこへケロさんたちがやってきて、俺を穴の中から助け出してくれたんだ」
「デカオくんを助けて、この部屋から出ようとしたら、さっきのお人形たちに襲われたってわけだったのよ」
「そうだったのか…………」
デカオとケロさんの説明を聞いて、熱斗は納得してうなずく。
「まったく、アンタって人はどこまで人騒がせなのよ。……ま、無事で何よりだけどね」
「めんぼくねぇ…………」
やいとの言葉に、デカオがすまなそうにうなだれる。
「! 熱斗、これをみて」
手当てを終えたメイルが、床に落ちて壊れた人形を指差す。
粉々になった人形の頭の中から、あの超小型ドローンとよく似た形の装置が転がり落ちていた。
『この受信装置で、こいつを動かしていたんだね』
「うん、そしてこいつを遠隔操作で動かしている奴がこの家のどこかにいるんだな?」
熱斗とロックマンが画面越しにうなずきあう。
「あのう…………」
メガネの女性が、熱斗におずおずと話しかける。おそらくケロさんたちを探しにいったスタッフとは彼女のことであろう。
「……私、さっき西側の一番奥の部屋で妙なものを見かけましたけど……」
「え、それ本当?」
「は、はい…………暖炉の上になんか大きな箱が置いてあって、赤いランプがチカチカ光っていたんです。
その時はラジオかなんかだと思って、その部屋を出たのですが……」
『たぶん、それは無線LAN装置の本体だね』
女性の証言にロックマンがつぶやく。
「よし、そこへ行ってみよう!」
熱斗は立ち上がって、部屋のドアへ向かう。
「あっ、熱斗! 何処へ行くの?」
メイルが叫んだ。
「メイル、やいと。お前らはデカオとケロさんたちを連れて、先にこの家から出ろ」
「熱斗はどうするつもりなの?」
「俺は、こんなふざけた騒ぎを起こした奴をつきとめにいく。頼んだぜ、メイル」
「熱斗…………あんまり無茶しないでね」
「ああ、わかってるよ。 いくぜ、ロックマン!」
『うんっ!』
そういうなり、熱斗は部屋を勢いよく飛び出していった。
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#5 奇怪怪々 怪奇現象! |目次 | #7 《幻影の魔王》の挑戦!
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#5 奇怪怪々 怪奇現象!
ギシィ……ギシィ……ギシィ…………
一歩一歩進むたびに、床が不気味な音を立ててきしむ。
「おーい、デカオー!ケロさーん!」
「デカオくーん、ケロさーん!」
「どこにいるのよー! 無事なら返事してーー!」
三人は、周囲を見回しながらデカオたちの名前を連呼した。
『どう?グライド。 ガッツマンたちの反応、見つかった?』
『いえ、この部屋をくまなくサーチしてみましたが、それらしき反応は何も…………』
『デカオくんたちの体温も感じられないわ。ここには居なさそうね、ロック』
『…………そのようだね。別の部屋へいってみよう、熱斗君!』
「わかった」
ロックマンたちも原因不明の強い電波障害のせいでデカオのPETやガッツマンとの通信が取れない今、PETの電源やデカオたちの体温を熱源探知モードで部屋の中を一つずつサーチして調べていく。
が、一階だけでも20数もの部屋があり、探すのにかなり難儀していた。
「くそう、一体いくつ部屋があるんだか、この家は」
熱斗が悪態をつきながら、次の部屋のドアを開けた。
「うわあ………………」
入ってみると、そこは応接間らしい、広々とした部屋であった。
天井には華美な造りのシャンデリア、床にはすっかり色あせてはいるが、豪華な刺繍を施されたじゅうたんが敷き詰めてある。
なによりも熱斗たちの目をひきつけたのは、壁にかけられた数十枚の肖像画と、部屋の真ん中に置いてある古いピアノであった。
「うっひゃー、まるで学校の音楽室みたいだなぁ」
「バカねぇ、学校の音楽室にシャンデリアやじゅうたんなんてないわよ」
目を丸くして部屋を見渡す熱斗に、やいとがすかさずツッコミを入れる。
「このピアノ、古いけどまだ使えるみたいね……」
メイルがピアノの蓋を開けて、鍵盤にそっと触れようとしたとき。
♪ボロン、ボロロボン、ボロオオン!!
「きゃあっ!?」
「うわっ!??」
突如、ピアノの鍵盤が波のようにうねり、手も触れてもいないのに勝手にメロディーを奏で始めた。
それはまるで、透明人間がピアノを弾いているかのような光景であった。
「ピ、ピアノが勝手に!?」
「何!? 何なの、これ??!」
ショパンのピアノソナタ『月光』が流れる中、パニック状態になって熱斗に抱きつくメイル。
「あ…………あれ見て!」
やいとが震えながら信じられないといった顔で、壁を指差す。
壁にかけられてある数々の肖像画の中の顔が、次々と変化し始めていた。
あるものは渦巻状に歪んだり、またあるものは血のように赤い涙を流したり。
まさに奇怪としかいいのようない光景である。
「ど、どうなっているんだよ、これ…………」
メイルの肩を抱きながら呆然とする熱斗がつぶやく。
と、一番大きな肖像画の中から、なんと貴婦人の顔がろくろ首のごとく「にゅう」と大きく抜け出し、
…………ウフフフ…………
熱斗たちに向けて不気味に微笑んだ。
「キャアアアアアア!!」
「ウワアアアアアアアア!!!!」
「イヤァアアアアアアアア!!!!!」
その刹那、熱斗たちは絶叫とともに猛ダッシュで部屋を飛び出した。
「…………な、何だったんよ?今のは……」
「う、噂は本当…………だったのね」
「し、心臓に悪いわね、今の顔…………」
応接間から飛び出てきた3人は壁にもたれて荒く息をした。3人とも、滝のような冷や汗を流している。
『熱斗君、大丈夫?』
ロックマンが心配そうに、声をかける。
「ああ……大丈夫さ。 かなりびっくりしたけどね。ったく、とんでもないところに来ちまったもんだな」
「元はといえば、デカオのバカが心霊写真を撮るとか言って一人で突っ走るからいけないのよ。あー腹が立つわねー」
肩を息をしながら、やいとが悪態をつく。
「まぁまぁ、やいとちゃん、そう怒らないで。それより早くデカオくんたちを………………っ!?」
やいとをなだめようとしたメイルの顔が、急に顔面蒼白になった。
「? どうしたんだよ? メイル」
「ねねね熱斗…………う、後ろ、後ろ……」
メイルがかちかちを歯を鳴らしながら、いぶかしげに見つめる熱斗の背後を指差す。
「え? 俺の後ろがどうかしたの………………!?」
不審に思い、熱斗が振り返ると…………
銀色に鈍く光る中世風の鎧をまとった首のない騎士が、そこに立っていた。
その手には大きな斧を持っている。
「!!!!!………………ウギャアアアアーーーーー!!!」
「出たぁあああああーーーーー!!」
熱斗たちの目と口が大きくOの字に開かれる。
「に、逃げろぉーーーー!!」
熱斗の鶴の一声が発せられるや否や、3人はまたもや猛ダッシュで逃げ出した。
が、
ガションガションと音を立てて、首無し騎士も斧を振り回しながらこれまた猛スピードで追いかけてきた。
「ひ、光君、追いかけてくるわよぉー!!」
「くそう、どうすりゃいいんだよー!!」
このままでは、追いつかれてしまう。3人ともそう思った。
『熱斗君!』
PETの中のロックマンが叫んだ。
「な、何だよ、ロックマン!?」
『何でもいいから、何か物をその首無し騎士の胸のところへ投げてみて!』
「え? そ、そんなこと急に言われても……」
『いいから早く! 僕の言うとおりにして!』
「何がなんだかわからねぇけど、わかった!」
ちょうど、前方に廊下の隅に高価そうな壷が置いてある。
ご都合主義といってしまえばおしまいだが、熱斗には考える余裕がなかった。
熱斗はそれを両手で抱えて立ち止まり、後ろを振り返る。
「これでも…………くらえっっ!!」
ありったけの力を込めて、ロックマンの指示通り壷を首無し騎士の胸めがけてぶん投げた。
ガッシャアアアァァーーーーーン!!
壷が胸に当たって粉々に砕け、首無し騎士が倒れた…………
と思ったら、その瞬間なんと首無し騎士の姿がフッ……と煙のように消えてしまった。
「何っ!?」
熱斗はもちろんのこと、メイルややいとも意外な光景に仰天した。
「ど、どーなってんだ?……これ」
信じられないといった顔で、熱斗が呟く。
「熱斗、これを見て!」
メイルが床に散らばった壷の破片を指さした。
見てみると、破片にまじってピンポン玉ぐらいの大きさの金属の球状のものが転がっていた。
「これは………………!?」
熱斗たちは、それを拾ってまじまじと見つめる。
よく見ると、小さなカメラとこれまた小さなラジコンのアンテナに似た金属線がついている。
『やっぱり思っていた通りだ。これ、超小型のホログラムプロジェクターつきのドローンだよ』
『どういうことなの?ロック』
ロールがいぶかしげに聞く。
『たぶん、誰かがどこかでそれを遠隔操作して、首無し騎士の立体映像で僕たちを驚かせていたんだ』
「どうして、それがわかったの?」
と、メイル。
『うん、ほんのわずかだけど、そのプロジェクターから電磁波をキャッチできたんだ。もっとも電波障害のおかげでそれに気づくまではちょっと時間がかかったけどね』
「……ってことは、さっきの応接間のアレも今までの幽霊騒動も、その装置の仕業ってわけ?」
『ピアノは自動演奏できるものを古いものにみせかけたと、いうことですね…………』
ロックマンの説明に、やいととグライドが納得したような顔をする。
「…………ふざけやがって!」
ガツン!!
熱斗が怒りを露にして、壁を殴った。
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#4 突入! 噂の幽霊屋敷 |目次 | #6 デカオ&ケロさん救出
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#4 突入! 噂の幽霊屋敷
さすが屯田兵氏の運転だけあって、あっという間に何事もなく例の『幽霊屋敷』の前に到着した。
「ここが噂の『幽霊屋敷』か……あれ?」
ベンツから降りた熱斗は、屋敷の前の道路にTV局の中継車が止まっているのに気づいた。
車の周りには、数人のスタッフが心配そうな表情で屋敷を見上げている。
「あの…………何かあったのですか?」
メイルが、その中の一人に尋ねる。
「あ、いや、それがね、俺たち番組の企画でここの取材に来ていたのだけど、 レポーターのケロさんとカメラマン二人が屋敷の中に入ったっきりずっと戻ってこないんだよ」
「え、ケロさんも?!」
熱斗たちは、お茶の間で人気の有名レポーターの名前を聞いて目を丸くした。
「ああ、心配になって探しに行った奴もまだ戻ってこないし……」
「もうかれこれ3時間は経っているんだよ……どうしたのかなぁ? ケロさん……」
『…………熱斗君』
「ああ、わかってるさ。 中へ入ってみよう、ロックマン」
熱斗は決意の表情を浮かべ、屋敷の門へ向かった。
「おじさんたち、俺たちがケロさんたちを探しにいってあげるよ」
「あ、君! 屋敷の中はどうなっているのかわからないし、危ないから入るのはやめたほうがいいよ!」
驚いたスタッフの一人が、慌てて熱斗を呼び止めようとする。
「大丈夫だよ、俺はこういう危ないことには慣れっこだから。それに、この屋敷の中には俺たちの友達も迷い込んでいるんだ」
俺たちはそいつを助けにここへ来たんだよ、と熱斗は笑顔で手を振りながら、立派な石造りのアーチをくぐる。
「あ、待ってよ熱斗!」
「自分だけかっこつけているんじゃないわよ、光君!」
メイルとやいとも慌てて、熱斗の後を追う。
その場には、ぽかーんと呆気に取られた表情のスタッフたちと、
「お嬢様、お気をつけてください……」と、心配そうに祈っている屯田兵氏が取り残された。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ギイィィ………………
大きな木製の扉がゆっくりと、不気味な音を立てて開かれていく。
そこは、広々としたエントランスホールであった。
「うひゃあ、結構広いなぁ……」
熱斗は思わず感嘆の声を上げた。
「さすが、昔アメロッパ貴族が住んでいただけあってゴージャスな造りだわね。ま、うちの物置より狭いけど」
やいとがさらりと言う。綾小路家のすごさが伺える発言である。
「でも、あっちこっち壊れていて、なんだか不気味な感じね……」
メイルが熱斗の背後で、周囲を見回す。
かつて賑やかに華々しく来客を招きいれたであろう場所は、今ではそこかしこにクモの巣が張りめぐらされ、階段の手すりやシャンデリアにも埃がたくさん積もっていて、昔の面影を全く残していなかった。
「ああ、まるで遊園地のホラーハウスみたいだぜ。それはとにかく、早くデカオやケロさんたちを探さなきゃ」
熱斗はそういって、手にしたペンライトで周囲を照らしながら、部屋へ足を踏み入れた。
メイルとやいとも、熱斗の後ろについて歩く。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『…………ご主人様、また3人ほど屋敷の中へ侵入してきました。今度は子供のようです…………』
闇の中で、<しもべ>が<主人>に報告する。
『ほう、こんな夜遅くに子供が?
そういえば昼ごろにも子供が一人、中に入ってきたな。もしや、そいつを探しにきたのかな?』
『いかがなされますか? ご主人様』
『そうだな…………』
<主人>はしばらく考えた後、にやりと笑い、
『まぁ、なんにせよ、我らにとっては全くの好都合だ。
【飛んで火にいる夏の虫】とは、まさにこのことだな。
…………我がしもべよ、そいつらを『丁重にもてなして』おやり。
先ほどの女たちと同様に、存分に恐怖を味あわせてやるが良い。くくく…………』
『かしこまりました、ご主人様』
<しもべ>が、恭しく頭を下げた。
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#3 デカオがいなくなった!? |目次 | #5 奇怪怪々 怪奇現象!
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#3 デカオがいなくなった!?
「あっしは確かに、この目でしかと見たでマス!!
絶っっ対『アレ』は夢とか幻ではありませんでマスッッ!!!」
「と、とにかく落ち着いてよ、日暮さん」
興奮してまくしたてる日暮を、熱斗は必死になだめた。
日暮が顔面蒼白になって光家に転がり込んてきたのは、ちょうど夕食が終わった時のことであった。途中で転んだのだろうか、すっかり全身砂埃まみれになってしまっている。
「まぁまぁ、日暮さん。 これを飲んで落ち着いてくださいな」
日暮の様子をみかねて、ママが暖かい紅茶を差し出す。
「あ、ありがとうございマス…………」
そういって、日暮はティーカップを受け取り、一口飲む。
「………本当に見たの? 『お化け』を」
「ええ…………しっかりと見ましたでマスよ」
熱斗の問いに、紅茶を飲んで落ち着いてきた日暮がうなずいて答える。
「あの屋敷の玄関のところで、なんかボーーッとした光がだんだんと集まってきて、それが人の形になって…………ああ、思い出すだけでも恐ろしいでマス」
日暮は顔を両手で覆い、ガクガクブルブルと震えた。
『ナンバーマン、君もその『お化け』を見たの?』
ロックマンは、ナンバーマンに聞いた。
『いいえ、私ははっきりと見てはいませんが、『子供の声』みたいなものを聞きました』
『子供の声?』
ロックマンの言葉にナンバーマンはうなずき、
『ええ、光が現れる前と日暮さんが気絶する前に、微かでしたが確かに聞こえました。
前者はくすくすと笑う声で、後者は『遊ぼう』と。どちらも子供の声でしたよ』
『…………………………』
「…………………………」
熱斗とロックマンは、何も言えずに顔を見合わせた。
と、そのとき。
ピリリリリ………………
突如、熱斗のPETからアラームが鳴り響いた。
「うわっ!?」
熱斗はドキッとしたが、すぐに気を取り直し、通信ボタンを押して通話モードに切り替えた。
『もしもし?』
『あ、熱斗兄ちゃん!』
相手は、デカオの弟チサオであった。
「チサオ? どうしたんだ、こんな遅くに電話してきて?」
『あのね、うちの兄ちゃん、熱斗兄ちゃんのおうちに今来てない?』
「デカオ? いいや、家に来ていないけど?」
そこで熱斗は、チサオの口調にただならぬものを感じた。
「デカオが…………どうかしたのか?」
『兄ちゃんが、兄ちゃんがまだおうちに帰ってこないんだ……』
「な、なんだってーー!?」
熱斗は驚き、叫んだ。
その隣で、日暮がびっくりしてソファからずり落ちる。
「デカオがまだ帰っていないって、どういうことなんだ!?」
『お昼ごろに、おじいちゃんのお古のカメラを持ってお出かけしていったの。
でも…………夕ごはんになっても、兄ちゃんまだ帰ってこないの。
いくら電話しても、兄ちゃんのPETに繋がらないんだ…………』
通話スピーカーの向こうから聞こえてくる、チサオの声は今にも泣き出しそうな雰囲気であった。
「……も、もしかしてデカオのやつ、4丁目の『幽霊屋敷』へ行くっていってなかったか?」
『……………………うん。
兄ちゃんね、そこで”しんれいしゃしん”を撮って学校のみんなを驚かせるんだって言ってた』
「あのバカ…………」
昼間の学校でのやりとりを思い出して、熱斗は舌打ちした。
『どどどどうしよう…………?』
「大丈夫だ、チサオ。 デカオは俺が探してきてやるよ」
『本当?』
「ああ、必ず連れて帰ってくるから、
家でおとなしく待っていろよ」
『………………うん、兄ちゃんのことをお願い』
熱斗の言葉に安心したかのように、チサオは電話を切った。
通話モードを解除した熱斗は、すっくと立ち上がり、ソファの横においてあるローラーブレードを手に取る。
「ママ、俺ちょっとこれから出かけてくるよ」
「えっ!?熱斗、こんな遅くにどこへ行くの?」
ママが心配そうな表情で、熱斗を見つめる。
『デカオ君、まだ家に帰ってきてないんだって。大丈夫、すぐに見つけて戻ってくるよ!』
「二人とも、あんまり無茶しちゃだめよ」
「うん、わかった! 行こうぜ、ロックマン!!」
『うんっっ!!』
そういって熱斗は玄関のドアを開けると、
「熱斗!」「光君!」
聞き覚えのある声が、耳に飛び込んだ。
「メイル!? それにやいとまで!?」
家の前に大型の黒いベンツが止まっていた。
そのベンツの窓から、メイルとやいとが顔を覗かせている。
「お前ら、どうしてここに!?」
「私たちのところにもチサオ君から連絡がきたのよ。そうしたら、やいとちゃんがすぐに車をチャーターしてくれたのよ。熱斗もデカオ君を探しに行くだろうと思って……」
「4丁目まで行くなら、うちのベンツのほうが断然早く着くわよ。さぁ、光君も乗った乗った!」
やいとの言葉と同時に、後部座席のドアが開く。
「ありがとう、やいと!」
熱斗は迷わず、ベンツの中へ乗り込んだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
熱斗たちを乗せたベンツは、軽快に夜の車道を走っている。
「ロックマン、デカオのPETに繋がらないのか?」
『うん、さっきから何度もやっているけど、繋がらないよ。
デカオくん、どうも強い電波障害が発生しているところにいるみたいだよ』
「電波障害か…………。とにかくあいつが例の『幽霊屋敷』にいることだけは間違いないようだな」
熱斗の言葉に、メイルたちもうなずく。
「それにしても、デカオ君が心配だわ。 怪我してなきゃいいのだけれど……」
心配そうに、窓の外を見るメイル。
「大丈夫よ、アイツはやたら頑丈な筋肉バカだからちょっとやそっとのことでは死にやしないわよ。 ま、どうせお腹がすいて一歩も動けないだけでしょ」
「無茶苦茶言っているなぁ、お前…………」
やいとの毒舌に、あきれ返る熱斗であった。
しかし、一見思いやりの無い言葉に聞こえるが、彼女なりにデカオのことをすごく心配していることは、熱斗たちにもよくわかっていた。
『やいとサマ、あと20分で目的地周辺に到達します』
「わかったわ、グライド。じゃ、”屯田兵”頼んだわよ」
グライドの報告を聞いたやいとが、ベンツの運転手に話しかける。
珍しい苗字の運転手は、眼鏡をキラリと光らせて、
「はい! お任せ下さい、やいとお嬢様。
皆様、かなりスピードを飛ばしますからしっかりとつかまってくださいね。
では…………いきますよっ!!」
と、思い切りアクセルを踏み込んだ。
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#2 日暮さん絶叫する |目次 | #4 突入! 噂の幽霊屋敷
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#2 日暮さん絶叫する
さて、その日の夕方。
「♪ふっふふんふんふんふんふーん、ふっふふんふんふんふんふーん
あーいい湯でマスたね~」
夕闇迫る歩道を、日暮は上機嫌に鼻歌を歌いながら歩いていた。
肩にはタオル、左脇に洗面器を抱えているその姿は銭湯からの帰りであることを印象づけている。
「いやあ、いつ行っても銭湯はいいもんでマスねー。家の風呂釜が壊れてしまって、一時はどーなるかと……」
『よかったですね、日暮さん。
この街にもまだ銭湯があったなんて思いもよりませんでしたよ。
しかし、入浴料金が550ゼニーとはちょっと高すぎだと思いますが……』
石鹸やシャンプーと一緒に洗面器の中にいれてあるPETの中から、日暮のナビ、ナンバーマンがややトーンを落とした口調で話しかける。銭湯でさっぱりしてきて、ご機嫌な表情の日暮とは対照的である。
「何言ってるんデスか、ナンバーマン。
今時、銭湯なんて特別天然記念物に指定されてもおかしくないくらい、数が少ないんでマスよ!
入浴料金が多少高くて当たり前でマス! でも、気持ちいいことには値段は関係ないでマスよ!!」
『それはそうなんですが、私はお風呂の修理費用がちょっと心配で………』
日暮の言葉に、ナンバーマンは心配そうな口調で答える。
「それなら心配ご無用! 今月のヒグレヤの売り上げは大黒字で…………ん?」
ふと、日暮の足が止まった。
『どうしました?日暮さん』
「確かここは………… 今、巷で有名になっている『幽霊屋敷』でマスか……?」
そういって、見上げる日暮の視線の先には、ものすごく古ぼけた大きな洋館がそびえ立っていた。
建てられてから百年以上は経過しているのだろうか。
雨風にさらされたレンガの壁は色あせてひび割れが入っており、無数のツタが生い茂っている。
そして、すっかり汚れている窓枠にはめられた窓ガラスには、くもの巣をおもわせるひび割れが走っている。
いかにも『幽霊がでてきそうな屋敷』といった雰囲気が十分漂っていた。
『これが、噂の幽霊屋敷ですか…………。
町立図書館のデータベースで調べてみましたところ、なんでも今から百数十年前、アメロッパから移住してきた貴族の依頼で、当時有名な建築家の手によって建てられたものだそうです』
もっとも、今は誰も住んでいないらしいそうですが……とナンバーマンが冷静に説明する。
「ナ、ナンバーマン、そっ、そんなことはどうでもいいから、とっととこんな薄気味悪い所からトンズラするでマス! あっしはオバケとかユーレイとかが怖くて怖くてたまらないでマス!」
日暮は両足をがたがた震わせながら言った。
その顔はものの見事に真っ青になっており、冷や汗が文字通り滝のように流れている。
『そ、そうですね…………。
早く家に帰りましょう。 風がでてきたし、湯冷めするといけませんね』
ナンバーマンの口調も、どことなく震えている。
「そそそそそうするでマスッ!!」
そういって、日暮が顔面蒼白になりながらもこの場を立ち去ろうとしたとき……。
………………ウフフ………………アハハ…………クスクス…………
日暮の耳に、かすかな笑い声が聞こえてきた。
「ナ、ナンバーマン? いっ、今何か言った……でマスか?」
『い、いえ? 私は何も言ってはいませんが…………?』
「へ? え??」
と、その時。
立派な門の向こうにある玄関の扉の前に、ポゥ…………と何やら淡い光が現れた。
「!??」
日暮は思わずそれを凝視した。
その光はやがて、子供ぐらいの大きさの人の形に変化し、
…………あ・そ・ぼ・う…………………………
日暮に向けてニヤリと笑った。
「………………〇×△〒□$♯@*¥%&∀ーーーーー!!!!!!」
その瞬間、手にした洗面器を地面に落とし、言葉にならない声を出して日暮は『絶叫』した。
その表情たるや、ムンクの叫びを遥かに超えていた。
「で、出たでマス……………ウ~~~~~~~~~~~ン」
唸りながら口から泡を吹き出してバタリと、その場に倒れて失神した。
『うわぁーーーーっ??!!! しっ、しっかりしてくださぁ~~い!
日暮すわあぁぁぁぁーーーーん!!!!!』
洗面器とともに地面へ放り出されたPETの中から、ナンバーマンが慌てふためいて叫んだ。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『ふふふ…………今の男の表情はなかなか面白かったぞ。
この調子でもっともっと私を楽しませておくれ、我がしもべよ…………』
『御意、ご主人様………………』
闇の中で、何者かがほくそえんでいた。
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
#1 幽霊屋敷のうわさ |目次 | #3 デカオがいなくなった!?
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
#1 幽霊屋敷のうわさ
さて、これをご覧になられている諸君。
インターネットが発達し、電脳世界を擬似人格プログラム―――ネットナビが闊歩する時代に
なっても、怪談話や不思議体験談はどうやらどっこい健在であるようだ。
今から語られるこの物語は、熱斗とロックマンが体験した、ちょっぴり不思議な物語である……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「なぁ、4丁目の『幽霊屋敷』でまたオバケが出たんだってさ!」
「ええっ!? またかよ?」
「なんでも昨日あそこを通りかかった八百屋のオバチャンが、建物の窓にボォーッと光るものを見たんだって」
「あ、それ見たって、6年生の男の子も言ってたわよ」
今や秋原小学校、いや秋原町全体では『幽霊屋敷』の噂が流れていた。
もちろん、熱斗たちのクラスでも、その話題で持ちきりである。
「このところ、4丁目の幽霊屋敷の話ばっかだな、ロックマン」
『うん。本当かどうかはわからないけど、お化けを見たって人がこんなに 多いとね……』
熱斗の言葉に、PETの中のロックマンは不安げにうなずく。
「でも……その『お化け』って本当にいるのかしら? どうも信じられないよね……」
「バッカじゃないの?あんたたち。そんなものいるわけないじゃない。
どうせ、ガラクタかなんかを『幽霊』と勘違いしただけじゃないの?」
首をかしげるメイルにやいとがバカバカしいとばかりに、反論する。
「そうかなぁ…………」
『でも、わたしは『お化け』より強力なウィルスがたくさん出るほうが怖いと思うわ』
メイルのナビのロールが呟いた。
『私も同感です』
やいとのナビ、グライドもロールの言葉にうなずく。
どうやら、彼らネットナビには『幽霊』や『お化け』といった、プログラムの概念に当てはまらない得体の知れないものがどういうものなのか、理解しがたいようだ。
「よぉーし! それじゃあ、みんなでそこの幽霊屋敷へ行って、確かめにいってみようぜ!
そうすりゃ、噂が本当かどうかわかるはずだぜ」
『おおっ、それはナイスアイディアでガス! さすがデカオさまでガスっ!!』
デカオが名案とばかりに、目を輝かせて言った。
ナビのガッツマンも、主人の提案に大きな手を叩く。
「何バカなこと言ってんの。カワグチ・ヒロシ探検隊の番組じゃあるまいし。ハイテク全盛のこの時代に、『幽霊』とか『お化け』だなんて非常にナンセンスな話よ」
「何だとぉ、やいと!」
やいとの冷めた発言に、デカオが顔を真っ赤にして食いかかる。
「それじゃ、もし本物の『お化け』が出たら、アンタどうするのよ?」
「そんなの心霊写真を取るに決まっているじゃん! 本物の心霊写真が取れるチャンスなんて、めったにねぇよ! 写真が取れたら、俺たち一躍有名人じゃないかよ?」
「はぁー、アンタってばとことんおめでたい奴だわねぇ。
お化けが「ハイそうですか」って、そう簡単に写真を取らせてくれるわけないじゃない」
「なっ…………」
やいとに対してデカオが反論しようとしたそのとき、
「二人ともまたケンカしてるの?」
「透!?」
熱斗は振り返って、背後の声の主の名前を呼ぶ。
そこには隣のクラスの氷川透が立っていた。
「はい、熱斗。借りていたホラー漫画、返すね。とっても面白かったよ」
「おっ、サンキュー」
透から一冊の漫画を手渡される。
「あら、それって『妖部バケル』の新作じゃないの?」
メイルが熱斗が持っている漫画の表紙をみる。
『『妖部バケル』って…………?』
『今、大人気のホラー漫画家よ。すっごく怖いって、評判になっているの』
ロックマンにロールが説明する。
「そうそう、特に登場人物の驚いたり怖がったりする表情の描写がすっごくリアルで怖いんだよね」
「あたしも、新作が出たらすぐに買って読んでいるの」
透とメイルがうなずきあう。
「あたしなんか、毎日ホームページをチェックしているわよ。単行本だって全部コレクションしているのよ。もちろんデビュー作の『死霊のコサックダンス』もゲット済みよ」
やいとも自慢げに話す。
『ふーん、そうなんだ。
道理で最近熱斗君がやたら部屋の壁のしみを気にするなぁって思ってたら、そういうわけなんだ』
ロックマンが納得したような顔でうなずいた。
「えっ?そうなの?」と、メイル。
「わっ、バカ! 余計なことを言うんじゃねぇよロックマン!!」
熱斗は顔を真っ赤にして、慌てて否定した。
「おおい、そんなことはどーでもいいから、今夜みんなで幽霊屋敷へ行ってみようぜー。
明日日曜日だからさー!!」
すっかり蚊帳の外に追いやられたデカオが、なんとかしてみんなの関心を再び自分のほうへ向けようと、必死になるが、そんなデカオをよそに、熱斗たちはすっかりホラー漫画の話題に夢中になっていた。
「だぁーっ、聞けー俺の話をー!! んがー!!」
#ロックマンエグゼ #ロックマンシリーズ
目次 | #2 日暮さん絶叫する
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
たとえばこんな世にも奇妙な物語
さて、これをご覧になられている諸君。
インターネットが発達し、電脳世界を擬似人格プログラム―――ネットナビが闊歩する時代に
なっても、怪談話や不思議体験談はどうやらどっこい健在であるようだ。
今から語られるこの物語は、熱斗とロックマンが体験した、ちょっぴり不思議な物語である……。
あらすじ
「4丁目にある廃墟の洋館に幽霊がでる」
「そこで本当に幽霊を見た人がいる」
秋原町全体ではそんな噂や目撃証言が広まっていた。
噂の真相を確かめに行ったまま帰ってこないデカオを探しに、熱斗たちは件の幽霊屋敷へ乗り込んでいく。
彼らがそこで見たものは……。
- 執筆当時はエグゼ3未プレイだったので一部のキャラの設定や口調に若干食い違いがありますが、あえてこのままにしてあります。
- 一部軽めのホラー描写があります。
- オリジナルキャラ&オリジナルナビがでます。
- PET・・・PErsonal Terminal(パーソナルターミナル)の略で、携帯情報端末。
- ネットナビ・・・PETにインストールされている疑似人格プログラム。
- オペレーター・・・ネットナビの使い手の人間のこと。
- ネットバトラー・・・ナビとともにネット犯罪やウィルス事件などのトラブルを捜査・解決する人間のこと。オフシャルネットバトラーには犯罪者逮捕の権利が与えられている。
畳む
目次
#1 幽霊屋敷のうわさ いつもの教室でのやりとり。
#2 日暮さん絶叫する 日暮さん「あ……ありのまま(以下略)」
#3 デカオがいなくなった? ベンツ、夜を行く。
#4 突入! 噂の幽霊屋敷 屋敷の中に何があるのか?
#5 奇怪怪々 怪奇現象! 次から次へと怪異が! ※ホラー描写あり
#6 デカオ&ケロさん救出 なんとか救出成功! そして ※ホラー描写あり
#7 《幻影の魔王》の挑戦! バトル開始!
#8 絶体絶命! どうするロックマン!? 反撃のチャンスは、たった一度だけ
#9 思わぬ好敵手の登場 やっぱり彼らもこの屋敷にきていた。
#10 騒動の終焉 黒幕終了のお知らせ
#11 そして、謎は残った <完> 一件落着……かと思ったらそんなことなかった。
登場人物紹介(ネタバレ注意) オリジナルキャラ紹介
あとがき
#ロックマンエグゼ
たとえばこんな世にも奇妙な物語 2025.3.12
ハンドベルのご利用は計画的に。
執事のハンドベルは便利……なんだけどね。 【SCPシリーズ】 ※一部グロ表現あり注意
執事のハンドベルは本当に便利だけど、こっちのお願いを嫌な顔せずに聞いてくれるからといって、あんまり無茶な命令とかお願いとかしちゃだめだよ?
デーズさんにだってやれることとやれないことがあるんだから。
キミも耳にしているだろうけど、こないだの「 」捕獲作戦のときは本当にひどかったんだよ。
人手が足りなくてデーズさんを呼び出して手伝ってもらったけど、「 」がかなり凶暴な奴でね、捕獲するのに時間かかったうえに犠牲者が多くでた。いやあ、阿鼻叫喚地獄ってああいうことを言うのかね?
さすがのデーズさんも五体満足どころじゃなかったよ。
あのときはほんとひどかったなぁ。
血の海に横たわるデーズさんをみて回収班の何人かが気絶してしまったくらいひどかった。
そうそう、グロテスクな光景に見慣れている救護班の者でさえも顔を真っ青にして胃の中のものを吐き出したりしていたなあ。
まぁ、もっともミンチ状態になろうと内臓をぶちまけていようと手足がもげようとも、ハンドベルを鳴らしたらあっという間に生き返って元の状態で現れるけどね、デーズさん。
だけど、いくら五体満足で生き返るからって、あんまりデーズさんをひどい目にあわせちゃだめだよ。今のところハンドベル使うのに<代償>はないみたいだけど、気をつけておいたほうがいいよ?
その<代償>も何なのかかもわからないし。
あぁ……もしかしたら、
キミも私たちも気づかないうちにもう<代償>を払っているのかもしれないけど。
<end>
あとがき
ツイッターの「#リプライでお題もらって書く予定のない小説の一部分を書く」タグで、「SCP-662」というお題をもらったので書いたものを加筆修正した代物。
ぷらいべったーからの再録&さらに加筆修正しました。
「SCPってなんや?」と思ってぐぐってみたけど、そういうジャンルがあるんやな。知らんかったわ。
wikiやらピクシブ百科事典などを参考にして書いた代物なんで、なんか違っていたら申し訳ない(汗
作中の怪異「 」の名前はお好きなように想像してくだされ。
#その他
#SCP
執事のハンドベルは本当に便利だけど、こっちのお願いを嫌な顔せずに聞いてくれるからといって、あんまり無茶な命令とかお願いとかしちゃだめだよ?
デーズさんにだってやれることとやれないことがあるんだから。
キミも耳にしているだろうけど、こないだの「 」捕獲作戦のときは本当にひどかったんだよ。
人手が足りなくてデーズさんを呼び出して手伝ってもらったけど、「 」がかなり凶暴な奴でね、捕獲するのに時間かかったうえに犠牲者が多くでた。いやあ、阿鼻叫喚地獄ってああいうことを言うのかね?
さすがのデーズさんも五体満足どころじゃなかったよ。
あのときはほんとひどかったなぁ。
血の海に横たわるデーズさんをみて回収班の何人かが気絶してしまったくらいひどかった。
そうそう、グロテスクな光景に見慣れている救護班の者でさえも顔を真っ青にして胃の中のものを吐き出したりしていたなあ。
まぁ、もっともミンチ状態になろうと内臓をぶちまけていようと手足がもげようとも、ハンドベルを鳴らしたらあっという間に生き返って元の状態で現れるけどね、デーズさん。
だけど、いくら五体満足で生き返るからって、あんまりデーズさんをひどい目にあわせちゃだめだよ。今のところハンドベル使うのに<代償>はないみたいだけど、気をつけておいたほうがいいよ?
その<代償>も何なのかかもわからないし。
あぁ……もしかしたら、
キミも私たちも気づかないうちにもう<代償>を払っているのかもしれないけど。
<end>
あとがき
ツイッターの「#リプライでお題もらって書く予定のない小説の一部分を書く」タグで、「SCP-662」というお題をもらったので書いたものを加筆修正した代物。
ぷらいべったーからの再録&さらに加筆修正しました。
「SCPってなんや?」と思ってぐぐってみたけど、そういうジャンルがあるんやな。知らんかったわ。
wikiやらピクシブ百科事典などを参考にして書いた代物なんで、なんか違っていたら申し訳ない(汗
作中の怪異「 」の名前はお好きなように想像してくだされ。
#その他
#SCP
乙女のピンチ!? 【R-15?】
【エルドランシリーズ/ゴウザウラー】 拳一×しのぶ ※健全です。
体が熱い。ほてりが収まらない。
先刻飲まされた薬のせいなのだろうか?
熱にうなされながらもなお、しのぶはなんとか両手を動かそうとするが、全く力が入らない。
立ち上がりたくても、両足も言うことを聞いてくれない。
まるで目に見えぬ縄でベッドごと全身を縛られているような感覚だ。
そうこうするうちに、目の前の男がハァハァ荒い息をつきながら迫ってきた。
焦点が定まらないしのぶの目に涙がじわっとあふれる。
「拳一ぃ……」
救いを求めるかのごとく最愛の人の名前をつぶやくその紅い唇に、
白い粘液の滴る先端がぐいっと押し付けられ――
「あーーーーーっつい!!」
「あちゃーまだ熱かったのか」
白い湯気がたちあがるおかゆ入りのレンゲを見つめる拳一。
「これでも充分フーフーして冷ましておいたつもりなんだけどなー」
「んもぅ拳一ってば。 舌がやけどするかと思ったじゃないの」
おでこに冷えピタを貼られたパジャマ姿のしのぶが抗議の声をあげる。
「おいおい、おかゆなんて初めて作ったから、加減なんてわかんねーよ」
拳一が悪態をつきながらもレンゲにハフハフ息を吹きかけ、おかゆの熱をとばそうとする。
「うん、こんなもんかなー?
ほれ、しのぶ食え。 ゆっくりでいいからな」
「う、うん……」
差し出されたレンゲにそっと口をつけ、ゆっくりとおかゆをすすってみる。
「あ…………美味しい」
今度はそんなに熱くはないようだ。
「残りの分も食べやすいように冷ましてやるからな。
そろそろさっき飲んだ薬も効いてくるだろーし、それ食ったらもうひと眠りしろよ」
「………………うん」
しのぶは小さくうなずき、布団を被る。
なんだか身体の芯からじんわりと暖かくなってきている。
風邪薬の効果なのか、はたまた拳一がつくってくれたおかゆが体を温めてくれているせいなのかはわからないけど。
おわり
あとがき
エロだと思ったか? 残念! 健全な惚気全開バカネタだよ!!(何
大分前に書いた、診断メーカー(http://shindanmaker.com/181664 )のお題ででた結果を元にしたSS。
エロと見せかけたバカネタは嫌いじゃないです。また書きたいw
#その他
#エルドランシリーズ
体が熱い。ほてりが収まらない。
先刻飲まされた薬のせいなのだろうか?
熱にうなされながらもなお、しのぶはなんとか両手を動かそうとするが、全く力が入らない。
立ち上がりたくても、両足も言うことを聞いてくれない。
まるで目に見えぬ縄でベッドごと全身を縛られているような感覚だ。
そうこうするうちに、目の前の男がハァハァ荒い息をつきながら迫ってきた。
焦点が定まらないしのぶの目に涙がじわっとあふれる。
「拳一ぃ……」
救いを求めるかのごとく最愛の人の名前をつぶやくその紅い唇に、
白い粘液の滴る先端がぐいっと押し付けられ――
「あーーーーーっつい!!」
「あちゃーまだ熱かったのか」
白い湯気がたちあがるおかゆ入りのレンゲを見つめる拳一。
「これでも充分フーフーして冷ましておいたつもりなんだけどなー」
「んもぅ拳一ってば。 舌がやけどするかと思ったじゃないの」
おでこに冷えピタを貼られたパジャマ姿のしのぶが抗議の声をあげる。
「おいおい、おかゆなんて初めて作ったから、加減なんてわかんねーよ」
拳一が悪態をつきながらもレンゲにハフハフ息を吹きかけ、おかゆの熱をとばそうとする。
「うん、こんなもんかなー?
ほれ、しのぶ食え。 ゆっくりでいいからな」
「う、うん……」
差し出されたレンゲにそっと口をつけ、ゆっくりとおかゆをすすってみる。
「あ…………美味しい」
今度はそんなに熱くはないようだ。
「残りの分も食べやすいように冷ましてやるからな。
そろそろさっき飲んだ薬も効いてくるだろーし、それ食ったらもうひと眠りしろよ」
「………………うん」
しのぶは小さくうなずき、布団を被る。
なんだか身体の芯からじんわりと暖かくなってきている。
風邪薬の効果なのか、はたまた拳一がつくってくれたおかゆが体を温めてくれているせいなのかはわからないけど。
おわり
あとがき
エロだと思ったか? 残念! 健全な惚気全開バカネタだよ!!(何
大分前に書いた、診断メーカー(http://shindanmaker.com/181664 )のお題ででた結果を元にしたSS。
エロと見せかけたバカネタは嫌いじゃないです。また書きたいw
#その他
#エルドランシリーズ
しれえの胸
【艦これ】※創作提督×艦娘注意
雪風のしれえは鎮守府に着任する前はお相撲さんだったそうです。
なんでも足腰の怪我で引退しちゃったけど、かなり強いお相撲さんだったみたい。
「これでも結構いいところまでいってたんだぞ」って、しれえが照れくさそうにいってました。
今のしれえはちょっとやせているんですが、さすが元お相撲さんだけあって
筋肉はものすごく盛り上がっているんです。
しれえいわく体がなまらないように、毎日トレーニングして鍛えているそうです。
この間しれえに抱っこしてもらったんですけど、しれえの胸のところがすごく硬かったです。
「うわーしれえの胸かたーい」と、ぺたぺた触ってみたら
「あー対戦相手によくいわれてたなぁ。
『オマエの胸は鉄板みたいだな』とか『得意の張り手が通用しなくて苦戦した』って」
って、しれえが苦笑いしてました。
でも、しれえの胸は鉄板みたいにかちこちでも、広くて大きくてなによりほんのりあたたかくて。
雪風にとって、しれえの胸は居心地のいい場所です。
雪風は、しれえに抱っこしてもらうのが大好きです。
雪風は抱っこしてくれるしれえが大好きです。
抱っこしてくれなくても、雪風はしれえが大好きです。
あとがき
ツイッターの「#リプライでお題もらって書く予定のない小説の一部分を書く」タグで、「鉄板」というお題をもらったので書いたものを加筆修正した代物。
最初は料理のほうの鉄板でいくつもりだったのに、どうしてこうなった・・・?
#その他
#艦これ
雪風のしれえは鎮守府に着任する前はお相撲さんだったそうです。
なんでも足腰の怪我で引退しちゃったけど、かなり強いお相撲さんだったみたい。
「これでも結構いいところまでいってたんだぞ」って、しれえが照れくさそうにいってました。
今のしれえはちょっとやせているんですが、さすが元お相撲さんだけあって
筋肉はものすごく盛り上がっているんです。
しれえいわく体がなまらないように、毎日トレーニングして鍛えているそうです。
この間しれえに抱っこしてもらったんですけど、しれえの胸のところがすごく硬かったです。
「うわーしれえの胸かたーい」と、ぺたぺた触ってみたら
「あー対戦相手によくいわれてたなぁ。
『オマエの胸は鉄板みたいだな』とか『得意の張り手が通用しなくて苦戦した』って」
って、しれえが苦笑いしてました。
でも、しれえの胸は鉄板みたいにかちこちでも、広くて大きくてなによりほんのりあたたかくて。
雪風にとって、しれえの胸は居心地のいい場所です。
雪風は、しれえに抱っこしてもらうのが大好きです。
雪風は抱っこしてくれるしれえが大好きです。
抱っこしてくれなくても、雪風はしれえが大好きです。
あとがき
ツイッターの「#リプライでお題もらって書く予定のない小説の一部分を書く」タグで、「鉄板」というお題をもらったので書いたものを加筆修正した代物。
最初は料理のほうの鉄板でいくつもりだったのに、どうしてこうなった・・・?
#その他
#艦これ
眠り姫
————およそ1ヶ月前。
とある小さな島の遺跡の最奥部で、世紀の大発見といっても過言ではない代物が発見された。
ロック・ヴォルナットの手によって、ディグアウトされたのは、かなり錆びついた、大きな鉄の棺。
その中には、3千年以上も昔に製造されたものと思われる、少女型のロボットが青いヘルメットを胸に抱いた姿で納められていた。
とうの昔に機能停止していてボディパーツがかなり朽ちたり傷んでいたものの、奇跡的にほぼ原型をとどめていた『彼女』の修復作業が、学術調査と同時進行で行われることとなった。
『眠り姫』————
それが、古のおとぎ話になぞらえて『彼女』につけられたコードネームである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ええっ?!! 『眠り姫』を元の遺跡に戻すって?」
ロールがロックとともに1週間かけて出した『結論』を告げた途端、案の定作業チームのリーダーのトニーは目を丸くして驚いた。
「はい、昨日博士たちと話し合って、そうすることに決めました」
「で、でも、ロールちゃん、『彼女』の調査はまだ終わっていないんじゃないか。
修復作業もほぼ終了して、もしかしたら『彼女』を起動させられるかもしれないっていうのに……どうして?」
かなり当惑した態度でうろたえるトニー。
トニーの言うとおり、『眠り姫』の修復作業は外見はもちろんのこと、動力炉を稼動していた頃と寸分たがわぬ状態に復元したところまで完了している。
ここ数日彼がロールはもちろんセラやユーナたちの協力を得て、未知のロストテクノロジーの壁に何度もぶち当たりながらも、寝食もそこそこに修復作業に並々ならぬ労力と情熱を注いでいた事は、白衣やネクタイが乱れ目の下にクマをつくっている彼の今の身なりから一目瞭然である。
あとはいくつかのチェックをクリアして『彼女』を目覚めさせる段階にまでこぎつけたというのに、ロールの発言は彼にとってまさに寝耳に水であった。
「わたしは、『眠り姫』をこのまま元の場所に戻してそっと眠らせてあげておくべきだと思うんです」
「し、しかし、『彼女』は我々の知らない遥か昔の古代文明……いや地球の歴史を知っていて語ってくれるかもしれないんだよ? 『彼女』のメモリーが、いや『彼女』そのものが歴史的にも技術的にも『大いなる遺産』と呼ぶべき大変貴重な存在だっていうのに」
「トニーさんの『彼女』を蘇らせようとするお気持ちは、よくわかります」
ロールは傍らの作業台に寝かされている『眠り姫』−−−ロールと同じ長い金髪を持った少女型の機械人形に視線を移す。
「……でも、『彼女』は本当にそれを望んでいるのでしょうか?
それが本当に『彼女』にとっていいことなんでしょうか?」
「! ……………………」
ロールのその一言で、トニーは無言になった。
「『彼女』が生きていた時代が必ずしも平和だったとは限りません。
もし『彼女』が目覚めても、その残っている記憶が辛く悲しいものだけだとしたら……あまりにも悲しすぎます」
ロールは真剣な眼差しで言葉を続ける。
「それに……見てください。『彼女』のこの顔を」
促されて、トニーも『眠り姫』の顔に目を見やる。
発見当時についていた傷を修復したその表情は、穏やかそのものであった。
薄いローズピンクの唇は、まるで幸せな夢を見てうっすら笑顔を浮かべているかのようにも見える。
「『眠り姫』がどういういきさつで眠りに付いたのかはわたしもロックも興味はあります。
でも、こうして幸せそうに眠っている『彼女』を一方的な都合や好奇心で無理やり目覚めさせる権利なんて、果たしてわたしたちにはあるんでしょうか?」
「…………………………………………」
トニーは黙って何も言わなかった。いや、何も言えなかった。
そして2週間が経った。
『眠り姫』に関する学術調査と修復作業が完了次第直ちに『眠り姫』を新しく造った鉄の棺に納めて遺跡の最奥部に再び戻すことに決まった。
その決定に学術調査隊や『眠り姫』の修復作業に当たっていたメンバーたちはかなり落胆し、中には「それでは今までの努力が水の泡ではないか」と不満を漏らす者も出てきたが、ロックやロール、トニーが根気よく説得したおかげでなんとか納得してもらうことに成功した。
また、『何も元の遺跡に戻さずとも『彼女』をどこかの島の博物館に引き取ってもらったらどうか?』との意見も出たが、空賊に強奪される危険性もあり、何より『彼女』を展示品という名のさらし者にするのには忍びないとのロールの意見もあって、却下された。
(ちなみにこの時、別の場所でロックたちのやりとりを盗聴していたトロン・ボーンが、『眠り姫』強奪計画を断念せざるをえない悔しさのあまり、ヘッドフォンを叩き壊したのだが、それはまた別の話である)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はい、これでオッケー、っと」
固く瞼を閉ざしたまま椅子に座らされている『眠り姫』のポニーテールの根元に、マチルダの絆創膏だらけの指が緑のリボンを大きい蝶々結びにきゅっと結わえる。
「うん、あたしの裁縫の腕もまだまだ捨てたもんじゃないわね」
マチルダは満足そうにうなずく。
発見当時、『彼女』が身に着けていたリボンも赤いワンピースも長い年月を経てすっかりボロボロに風化していたのを、マチルダが「このままだと可哀想」と十数年ぶりに裁縫道具を駆使して新しく造リ直したのだ。
「これで『この子』も気持ちよく眠れるね」
と、ロールが『彼女』の頭を優しく撫でる。
ロールもトニーと同様『彼女』の修復作業に携わっている間に、
「なんかね、どう表現したらいいのかな?
なんとなく……というか、『この子』は長い間生き別れていた親友……いいえ、血の繋がった姉妹って感じがするのよ」
と、かつてロックに語ったほど、いつしか『彼女』に愛着をもつようになっていた。
それだけに、『彼女』を遺跡に戻すことを決めたロールにとって、この別れは辛く悲しいものであった。
「ロールちゃん……」
ロックにもロールの気持ちが痛いほど、よくわかる。
「『この子』とお話できないのは残念だけど、『この子』の眠りを邪魔するわけにはいかないものね……」
ロールは『彼女』を見つめて微笑んだ。
しかし、その表情はどことなく寂しそうである。
「案ずるでない、ロールよ。
後のことはユーナに任せておくがよい。」
傍らで見守っていたセラがロールの肩に手を置いて語りかける。
「この島の司政官は、ユーナの直属の部下だ。
そやつならば必ずや、この『少女』の眠りを妨げぬようにあらゆる曲者の手から存分に守ってくれることであろう…………」
セラの言葉に、ロールが無言でうなずく。
「よいしょ」
ロックは、『彼女』を抱きかかえた。
見かけによらずかなりずっしり重い。
それでも足がよろけそうになりながらも、ロックは『彼女』を新しく造った鉄の棺————機能休眠カプセルまで運び、眠っている赤子をゆりかごに入れるかのように、丁寧にそっとその中に横たわらせる。
後は蓋を閉めれば、準備完了である。
ロックが蓋を閉めるスイッチを押そうとしたとき。
「待って」
ロールが呼び止めた。
「? どうしたの?ロールちゃん」
ロックがいぶかしげに言う。
「忘れ物」
ロールが部屋の隅から青い丸いもの——『眠り姫』が大事そうに抱きかかえていたヘルメットを両手に抱えて持ってきた。
もちろん、ロールの手によって修復済みである。
「…………これ、『貴方』にとって一番大切なものなんでしょ?
直しておいたから一緒に入れておくね」
そう語りかけながらロールは、『彼女』の両手を取り胸にヘルメットを抱かせる。
「本当に……幸せそうな寝顔………きっと楽しい夢をみているのね………『貴方』は………」
『彼女』の前髪を何度も優しく撫でているうちに、いつしかロールの目にも涙が光っていた。
ロックやマチルダ、セラ、背後に控えたトニーたちも無言で見守る。
しばしの静寂が流れた後————。
「もういいわ、ロック。後はお願い」
自分なりに『眠り姫』への別れを済ませたロールが、涙を拭いながらロックに告げた。
それに答えてロックはうなずき、
「……それじゃ、スイッチを押すよ」
ロックの指がスイッチに触れ、ゆっくりと押される。
ヴィィィ……………………
機械音とともにスライド式の蓋が動き出し、
プシュゥゥ………………
完全に閉ざされ、『眠り姫』は再び闇に包まれた。
「おやすみなさい…………………………………『ロール』」
ロールは修復作業の過程で知った『彼女』の本当の名前を慈しみをこめてそっと呟き、祈った。
どうか『彼女』の眠りがいつまでも安らぎと幸せに満ちたものであるように、と。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後、数多くのディウアウターや空賊が『眠り姫』を求めて遺跡をくまなく探しまくったが、誰一人辿り着く者はいなかった。
やがて<最奥部には鋼鉄の茨のようなものに覆われている扉があり、その扉の向うに『眠り姫』が眠っている>という噂が流れ出し、いつしかそれは『茨の森の眠り姫』の伝説として後世に語り継がれるようになっていった。
この島を訪れた青いアーマー姿の少年が『眠り姫』の眠る場所を突き止めて、『眠り姫』を数千年の眠りから目覚めさせたのは、それからさらに数百年後の事である。
<end>
あとがき
10数年前に、とあるサイトの小説掲示板に投稿したものをUSBメモリからサルベージしたものです。
たしか同人誌読んで、ラストに感動して書きなぐった記憶があるんだが・・・記憶があやふやですまぬ(汗
このころからなんでもかんでもDASHに繋げたがる癖があったわ(爆
#ロックマンシリーズ
#DASH
あとがき:聖なる河
昔サイトにうpしていたパワスト小説の再録。当時のサイトのキリ番リクエストで書いたものです。
再録にあたって加筆修正しました。
当初は、能『隅田川』をベースに
「悪者に誘拐された息子を探している母親に協力することになったルージュと竜馬。→
だが、息子はすでに病でなくなっていた。→
嘆き悲しむ母親を不憫に思ったルージュがパワーストーンの力で一晩だけ息子を生き返らせて母親と再会させる」
という筋書きだったんだけど、なかなか筆が進まなくて結局没に。
後になんかのTV番組で河イルカのことを知って、「これだ」と思いついてできたのが本編でした。
構想2週間、下書き3週間もかかって執筆にかなり難儀したのもいい思い出……。
そういや、オリキャラの視点で進むストーリーも何気に初めて書いたような気がするなあ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
黒幕の「黒ずくめの男」については、パワスト小説を書くにあたって考えたオリジナルの敵役です。
(2のラスボスの弟子という設定)
後の作品でも事件の裏で暗躍しまくって、フォッカーたちと対決する予定でした。
舞台は東南アジアかアマゾンあたりのイメージで。
タシの年齢は10歳ぐらいで。
#パワーストーン #あとがき
聖なる河 目次
聖なる河 2025.3.9
個人が趣味で書いた二次創作小説(ジャンル色々、ほぼゲーム原作ばっか)置き場です。
各公式様や版権元様とは一切関係ございません。
小説の閲覧は自己責任でお願い致します。
読了後の苦情、誹謗中傷等は一切関知しません。
なお、展示されている画像・テキスト・その他もろもろの無断転載は禁止させていただきます。
あとSNSへのURL拡散やAI学習の素材化もお断りさせていただきます
畳む
ジャンル別作品リンク
パワーストーン
空へ
シルクの冒険心
闇の中から…… 前編/後編
聖なる河 全7話
ロックマンシリーズ
眠り姫 【DASH】
たとえばこんな世にも奇妙な物語 【エグゼ】全11話
その他
しれえの胸 【艦これ】
乙女のピンチ!? 【エルドランシリーズ】
ハンドベルのご利用は計画的に。 【SCPシリーズ】⚠グロ表現あり